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 “ククルス・ドアンの島”(第15話)に次いで僕が担当したガンダムの話数は第21話“激闘は憎しみ深く”。間が開いたのは“科学冒険隊タンサー・5”の作業とクロスしていたから。この回は、戦死したランバ・ラルの意志を継いだハモンの復讐劇であり、人間に死をもたらす戦争とは何なのか、何のために戦わなければならないのか、を考え直す話である。ラルの攻撃でホワイトベースが大きな損害を受けて修理を続けている間に、ハモンはランバ・ラルの息のかかった者たちを集め、死を覚悟の攻撃に出ようと考えていた。

 一方、ホワイトベース側にもトラブルが起きていた。戦でのアムロの行動が自信過剰で自惚れが強すぎると戒めたブライトが、アムロを再び独房に入れたのだ。ハモンの一隊が攻撃を仕掛けて来たのはそんな時である。事態を知ったリュウはブライトにアムロを独房から出すように進言するが、ブライトは承知しない。その間にもハモンの攻撃は迫ってくる。リュウは決意した。「責任は俺がとる!」とブライトの許可を得ずにアムロを独房から出して出撃させたのだ。アムロはコアファイターで発進した。しかし、事態は思わぬ方向に進展する。

 ランバ・ラル隊の生き残りタチ中尉以下数人のジオン軍兵士がハモンを補佐してホワイトベースに攻撃をかけ、ハモンもマゼラ・トップの砲塔を持ったザクで迫る。苦戦の状況にいたたまれず、リュウが痛みを堪えて病室を出るとガンタンクに向かいパーツを発射させる。アムロはガンダムにチェンジしたが、爆薬を満載したカーゴの進撃に一瞬動きを封じられた。へたに攻撃したらホワイトベースが爆発の危機にさらされるからだ。マゼラトップでガンダムの後ろにピタリと着くハモン。絶体絶命の危機と見えた時、コアファイターに乗ったリュウがマゼラトップに体当たりした。「リュウ!」 悲痛に顔を歪めたアムロ、次の瞬間カーゴを爆破した。命を賭してガンダムとホワイトベースの危機を守ったリュウの壮絶な死は、アムロ、ブライト以下ホワイトベースの仲間たちの心に大きな衝撃を残した。

 ベットに伏したリュウの負傷を気遣うセイラ、フラウボウ。アムロの独房入りを反対するリュウ。そして指揮官としての立場に心惑わすブライト。戦の中での仲間達のそれぞれの思いやり、いたわりが交差する。何が、誰が正しく、誰が間違っているのか。リュウの死を目前にしたアムロの悲しみと怒り。リュウの発進を認めたハヤトの苦痛。リュウにコア・ファイターを譲ったジョブ・ジョン。みんな自分を責めたが、今やリュウは戻らない。「いや、みんなのせいではない。我々が未熟だったからだ。これからどうすりゃいいんだ。ええ、リュウ!」ブライトの脳裏をさまざまな思いが走り抜ける。指揮官としての自覚と、人間として戦争と人の死のむなしさを目の当たりにした苦しみが胸の中で交錯する。「ジオンを倒すしかないわ。そうすれば戦争は終わる。それしかないのよ!」セイラが悲痛に叫んだ。戦争を肯定するのではなく、ここまで進行した事態を終わらせる為の苦し紛れの選択だ。今回の中で、僕が見つけ出せた最低限の答えである。

 話は変わるが、この回が放映されたのは8月25日(東京地区)だった。夏休みも終わりに近く、二学期突入直前だ。ロボットものに限らず少女ものアニメもそうだが、番組を提供するスポンサーは自社が発売する番組関連の玩具やグッズの開発に力を注ぐ。特に暑い夏休みを終えた秋から冬には新製品を出してくる。そしてその狙いのピークが“クリスマス、正月商戦”だ。一年を通して一番の売れ時だから。そこで当然その時期を前に新商品を開発し、宣伝を含めて番組の中に登場するよう注文をつけてくる。ジオン軍はガンダムの登場以来次々に新型モビルスーツを送りだした。局地戦のグフ、同重装甲型のドム。特にドム(24話、9月15日放送)に至っては完成度も高く、宇宙戦用にバーニヤを改造したうえザクに変わるリック・ドムを開発、ジオン軍モビルスーツ隊の中心となった。この回でも小型ではあるが爆薬を満載したジオン軍側兵器カーゴや、マゼラトップの砲塔を持つザクなどを登場させた。このあとも年末に向けて“クリスマス、正月商戦”は激化していく。