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 とにかく“科学冒険隊タンサー・5”シリーズの作業が想像以上に大変だったことは確かである。“ひみつのアッコちゃん”“はじめ人間ギャートルズ”“新ルパン三世”などのように登場するレギュラー・キャラクターは決まっていて、毎回の話を自由に発想する一話完結形式と違い、話しの素材が“古代遺跡や自然現象の怪奇現象”と決められているのだから。既成の説を使うにしろ特異な発想による“新説”を設定するにしろ、わずか15分足らずの時間の中で少しでも説得力のある世界を構築しなければならない。言ってみれば各ライターの持てる想像力のバラエティー・ショーといったところか。

 そのライター陣をこの番組では僕を入れて六人にし、ユニークで洒脱な感覚の持ち主であるライター富田祐弘氏にシリーズ構成の協力を依頼した。そして、ライター全員が顔を揃える第一回打ち合わせ会議までに50を越える世界の怪奇現象を集め、リストにまとめた。その中から各自自由に素材を選んでもらい、作業に入ることになった。ちなみに第一回目のシフトで選ばれた素材は次の通り(カッコの中は放映タイトルで、解釈した内容、説。放映順)だ。ナスカの地表絵(UFO基地か? 荒木)、ストーンヘンジ(古代のコンピューター 星山博之)、ネスコの謎(生きていた恐竜 伊東恒久)、アトランティス(眠る海底都市 富田祐弘)
ダッシリの岩絵(白い巨人の叫び 渡邊由自)、イースター島のモアイ(甦る石人像 松崎健一)。

 作業を開始してから三ヶ月余り後、東京12チャンネル(現テレビ東京)から放映が開始された。名前の通り全国ネットではなかったこともあり、視聴率は正直余り芳しくなかった。実はこの番組、同じスポンサーであるトミー(現在のタカラ)が提供した「恐竜探検隊ボーンフリー」などの延長線上にある作品なのだが、放映が進むにつれて一つの問題が見えはじめてきた。販売する玩具の売れ行きだった。恐竜ものを次々製作してきたトミー。恐竜にはいろいろな種類があり一時ブームを巻き起こしたが、この番組では売り物にする玩具が限られたことにある。隊員達のベース基地“アクアベース”を中心に、スポーツカー型からジェット機に変型するブルータンサー(スカイタンサー)、地底戦車に変型するレッドタンサー(ランドタンサー)、ワンボックスカーから潜水艇に変型するイエロータンサー(アクアタンサー)と、この三台を搭載して過去に飛ぶタイムマシーン、タイムタンサーのみなのだ。それぞれにボタン一つで変型を楽しむことはできるが、やはり広がりに欠けたことはいなめない。

 いずれにしても、各ライターがかなり悩んだことに変わりは無い。既設といっても、例えば僕が第一話で取り上げた“ナスカの地表絵”にしても、宇宙人が描いたのか?ぐらいの仮説しかない。どんな方法で、何の目的でという肝心な部分が欠けている。それを、説得力のある“説”を考えなければならないのだ。そのためか、各ライターとも、打ち合わせの時に予定した第一稿締め切り日よりかなり遅れての仕上がりが多かったし、時によっては直しの回数が大幅に増えたこともかなりある。

 二回目からのシフトで僕が取り上げた素材はトロイ戦争で使われた“トロイの木馬”、円形に並べられた巨大石の“ストーンサークル”(日本)、船舶や航空機が忽然と姿を消すといわれる“魔のバミュウダ海域”、一度足を踏み入れたら出られないとされる“ミノタウルスの迷路宮殿”、南米コスタリカに残る“コスタリカの円球石”、死の闘技場といわれる“ニーム円形闘技場”の六つ。合計七本の脚本を担当した。実は“説”に自信があって選んだ訳ではない。というか、どの現象にも確固たる説や裏付けがあるものは無いといえる。どれも思いつきや想像の域を脱していないのだ。回が進むにつれ、だんだん残り少なくなる素材の中から、皆それぞれに思いつきで選んだと言って過言ではないだろう。

 そうした中で、一つ面白いことに気がついた。恐竜や怪獣が好きな伊東恒久氏が選んだ素材である。ネスコの謎、謎の首長竜、アゾレス海溝の岸壁など全て恐竜絡みだったこと。それにしても、僕としては残念ながら未消化の作品に終わってしまった思いがあり、申し訳ないしだい。それ以降、機会があればタップリの時間を使って同じ企画の作品を実現できればと、今も思っている。