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 企画、メイン・ライターとして作業に関わった“無敵鋼人ダイターン・3”から一年半程過ぎた頃、同じサンライズ社から二本目の企画を依頼された。その間、他の製作会社の作品もライター・グループの一人としていくつか参加させてもらったが、それらはいずれ順を追って触れることにする。“ガンダム“のライター・グループに参加したのが“ダイターン・3”の作業途中の後半頃だったから、しばらく二本掛け持ちの状態だったことになる。そして二本目の企画に取り掛かったのは、“ダイターン・3”を無事に終了し、“ガンダム”の作業半ば過ぎ頃だったと思う。

 依頼された企画は“ロボットもの”ではなかった。“科学冒険隊”と名付けられた少年5人のグループが活躍する、30分一話完結形式の冒険SFドラマである。誰がいつ何のために描いたのか未だ謎とされている“ナスカの地上絵”をはじめ、航空機や船舶が突如姿を消すと言われている“魔のバミューダ海域”、“イースター島のモアイ像”、“ストーン・ヘイジ”など“世界の七不思議と言われている“謎”を、諸説やフィクションを駆使して解き明かしていくとゆうシリーズだ。この企画を依頼された時僕はもの凄く興味を持った。科学的にも証明が難しい世界の謎について、自由に発想をめぐらせ、フィクションの世界で“新説”を構築していくことができるからだ。

 僕はさっそく調べてみた。手持ちの資料だけでなく書店、古本屋と探し回って驚いた。七不思議どころではない。日本各地に伝わる“謎”の遺跡、現象だけでも数十個、世界となると有名なものからあまり知られていないものまで含め驚くほどあったのだ。シリーズ構成をする立場として、それらの中から面白そうなもので、奇抜で説得力のある“新説”が考えられそうなものを選びださなければならない。

 ここで、一つの問題に突き当たった。今回の企画は完全な一話完結であること。しかも、一話ごとの素材、テーマが全く関連の無い独立した別のものだからである。僕は、集めた資料の中から有名なものを含め、あまり知られていないが面白そうだと思えるものをアトランダムに30本ほど選び、伝えられている“説”を添えてリストにした。その中から好きな素材を選んでもらい、その“説”の通りのドラマにするか、新説をフィクションにしてもらうかはライターの自由とした。こうした時間のかかる作業が予想されることから、今回の総監督四辻たかお氏と相談し、ライター陣も人数を増やすことに決めた。僕はまず第一話“ナスカ地上絵の謎”をシナリオ化した。

 ところが実際に作業に入ってみると、もっと大きな問題にぶつかった。実はこの作品、実写の特撮フィルムとアニメーションによるドラマ部分との合成で構成される作品なのだ。世界の謎を解き明かすためには過去の時代に主人公達を移送しなければならない。科学冒険隊のメンバーを乗せて過去の世界に送るタイムマシーンの出動から着地、帰還までを、東映特撮部がフィルムに収めることになった。精密に作られたタイムマシーンを駆使して迫力に満ちた作品が完成したのだが、そのフィルムの尺数が7分弱、これ以上削れないとのこと。テレビで30分枠の場合、コマーシャルやオープニング、エンディングを除くと、本編のフォーマットは前半と後半合わせて22分弱(当時)。特撮部分7分を引くと、アニメーションによるドラマ部分は15分弱しか残らない。

 今回のドラマ部分の構成は大きく分けて三つ。“不思議”がどんなものなのか、隊員達のディスカッションによる説明。過去に飛んでからの現地の人達との出会い、交流。不思議の“謎”を解いて(既設、新説)の帰還。全てを満足のいく形でクリアーするのが、正直物理的にみて難しかった。言い訳になるが、無理とも言えた。それでも、個性、キャラクターの異なるライター陣はリストの中から自由に素材を選び、オーソドックスに、ドラマチックに、時には奇想天外な発想で挑んでくれた。心からの感謝である。これが“科学冒険隊タンサー・5”だった。