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 前回のコラムで“ガンダム”の作業進行の半ばに“ダイターン・3”の企画を依頼されたと書いたが、僕の記憶違いで“科学冒険隊タンサー・5”の誤りでした。“ダイターン・3”は“ガンダム”の前の作品でした。記憶違いで恥じるとともに深くお詫びします。“タンサー・5”については後日詳しく書きます。とは言え、“ダイターン・3”に注いだ僕の思いに変わりはなく、メイン・ライターとして最終回まで意義深い作業をすることができたことも事実でした。

 企画会議で総監督の富野氏、サンライズ社の山浦プロデューサーはじめ主なスタッフと顔を合わせた時点で、“ダイターン・3”というタイトルは決まっていませんでした。そしてそれ以前にスポンサー倒産のために頓挫していて、“ザンボット・3”の後番組としていた企画三段変型ロボ“ボンバーX”を土台に実現させて欲しいとの意向を、その時聞かされました。では具体的にどのように構築し直せばいいのか、と考えを巡らせていく中で、勧善懲悪を軸にした従来からあるロボットものにはしたくないという思いが最初からあったことは確かである。

 いろいろな角度から意見交換を進めていき、単に敵国と地球との宇宙侵略戦争や、巨悪を倒すための戦いといったストーリー構成は除外しようという意見で一致した。そして、主人公破嵐万丈操る大型変型ロボット“ダイターン・3“と人類への反乱を起こしたサイボーグ人間“メガノイド”達との果てしなき死闘を描く骨子が固まったのである。その根底には主人公破嵐万丈の復讐人生を設定したことも、今迄のロボットものとは一味違うストーリー展開になったといえるだろう。

 その背景には、火星開拓事業のためにサイボーグになった人達が居り、それを生み出したのが実は破嵐万丈の父親、破嵐創造博士だったという設定を設置した。更に、その事業に多額の出資でバック・アップしたのが、万丈のアシスタントをしているビューティフル・タチバナ(通称ビューティー)の父親が創始者たるタチバナ財団だった。やがてサイボーグ達が自ら“メガノイド”と名乗り、人類への反乱を起こすことになったことから、万丈もビューティーも、自分たちの親の行への責を抱いて行動することになるのだ。

 初回一話、二話でドラマの設定、背景を説明せず、謎に包まれたままスピーディーなストーリー展開のスタイルを取ったのは、こうした複雑な人間関係、ドラマの背景設定を長ながと説明してからスタートする手段を嫌ったからである。視聴者は、万丈が何故命を賭けて戦うのか?メガノイドとは何者で、悪か敵かも知らされないままストーリーは展開していく。プラスして各回に登場するメガノイド達も完全なロボットではないから、考え方も行動パターンも違う。一見意地悪そうに思うかもしれないが、このチグハグさもこのシリーズの狙いの一つであった。

 登場人物のキャラクターも、キザで女性に優しいが全てに天才的能力を持つ主人公破嵐万丈、知的美女で元インターポール予備校生の三条レイカ、金髪で大人の魅力に溢れながらどこか子供っぽいビューティフル・タチバナ、万丈の一の助手を自負する戸田突太通称トッポ、家事全般の世話からメカの整備、メガノイドとの戦闘までこなす異色の執事ギャリソン時田、メガノイドの首領で得体の知れないドン・ザウサー、その指令塔で謎の女メガノイド、コロス等、皆風変わりで楽しい。
ちなみに、企画以前からメカ商品が出来ていたことから、子供たちへのクリスマス商戦は大成功だったと聞いている。最後まで理屈抜きに楽しいシリーズだった。一方で、企画・メイン・ライターとして、してやったりの満足感もある作品となったといえる。