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いよいよ“機動戦士ガンダム”のテレビ放映が開始された(以降“ガンダム”)。第一話(星山博之脚本)については完成した時の試写会で観ていたが、テレビの画面で観るそれは、何故か一味違った思い入れが湧くものだなと、その時思ったものだ。一話完結の単発ものと違い、約一年近くに及ぶ帳帳場の作品に初めて取り組んだことの思いだったのかもしれない。

 アニメでも実写でも、作品が完成すると試写会が行われる。テレビ局の試写室で行われることもあるが、多くの場合フィルムの現像所に備えられた試写室で行われる。プロデューサーはじめ監督、出演者(アニメの場合声優さん)、脚本家、スポンサー(番組提供会社の担当者)などの希望者が参加し、観終わった後に感想など出来具合について意見交換が行われるのだ。僕が怖いと思ったのは、その時試写された作品の前の回辺りで視聴率が低下したりした時だ。スポンサー筋から痛烈に非難されるのは、何故かシナリオライターなのだから。ホン(脚本)が悪い、つまらない、と。

 この視聴率という数字、本当に怖い化け物のように思える。本当にホンが悪くて落ちたのか、裏番組(同じ時間帯の他局の番組)に取られて視聴率が落ちたのか、本当の原因は誰にも断定できないのだから。余談になるが、僕の先輩に当たるライターで、本当に運が悪いとしか言い様の無い人がいた。誰もが心撃たれると認めるような素晴らしい脚本を書くのだが、何故かその人の作品は放送される度に視聴率が出ないのだ。

 話は戻るが、“ガンダム”の第一話の放映を観て、第二話(山本優脚本)、僕が担当の第三話、松崎健一君の第四話と、作業第一巡目を観たところで、僕が安心したことがある。それはアムロ(声、古谷徹)が適役だなと思ったことと、登場人物達のセリフから受けた性格、キャラクターのイメージが僕の中でより明確に浮き上がってきたことだ。正直脚本の段階で、文字でセリフを書いていた時は、四人のライターの癖からか、似せてはいるもののニュアンスが微妙に違っていたように思う。それを登場人物ごとにみごとに個性を現し、色ずけしてくれたのは、もちろん富野監督である。そして、アムロはもちろんシャー、ブライト、フラウボウ、カイシデンいずれのキャラクターも、第一話から第四話まで生き生きと統一されていた。

 この頃すでに、四人の脚本の作業は3巡め12話までの完成を目指して進められていたと記憶している。そこで僕は、第一話から第四話までの放映を観て思い直したことを含め、この回担当のシナリオについて、打ち合わせで進めてきたストーリーやエピソードはいじらず、人物の表現、セリフ回しについてのみ改めてチェックし直すことにした。こうして“ガンダム”の作業に新たな気持ちで取り組んでいったのである。

 気がつくと、2010年、今年も残すところ一週間余りとなってしまった。そして僕にとって今年前半と後半では、180度も違う大きな出来事もあった。そうした中でこのコラムの連載(予定80回)を開始できたことは、僕にとって来年に向けて大きな飛躍となる第一歩にしたいと思っている。連載を開始して今回で18回。今年はこれでお休みさせて頂くが、来年はまた1月7日(金)から再開させていただきます。今まで僕が関わった“ガンダム”、“名探偵ホームズ”をはじめさまざまな作品との出会い、裏話、外伝など、より充実したものを目指して頑張りたいと思っています。