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 “ひみつのアッコちゃん”終了後、同番組のNET側(現在のテレビ朝日)プロデューサーで、僕を東映動画に紹介してくれた落合兼武氏が、大先輩にあたるシナリオライター押川国秋氏に僕を引き合わせてくれた。
 当時押川氏はNETの“遠山の金さん”(中村梅之助主演)シリーズを担当するライターの一人だったが、前後して決まった企画“丹下左膳”(緒形拳主演)シリーズのワンクール(13本)を同氏が一人で書くことになったため、“遠山の金さん”を手伝ってくれる人を探しているところだった。

 落合プロデューサーと押川氏は住居が同じ浦和ということもあり、仕事のみならずプライベートでもかなり親しい付き合いだった。余談になるが、落合氏が見初めた彼女(NET会計課の社員)との結婚相談にも押川氏がひと肌脱いだとのことだし、押川氏のギャラの支払いには(締め切り過ぎた時など)彼女が便宜をはかってくれたとの裏話もある。

九州男子(宮崎出身)の押川氏は一見豪快で強面に見えるが、根は優しく親切で仕事には熱心だった。“遠山の金さん”、1本目は押川氏を手伝う形だったが、“丹下左膳”の方が追い込みに入ったため、僕はメンバーから抜けた押川氏の替わりとして“遠山の金さん”を3本書く結果となった。
 シナリオライターというのは組織から外れた孤軍奮闘、一匹狼である。仕事の場を広げるためには人と人の関係、プロデューサーに価値を認めてもらうことが大切である。ミスをしたりすれば、そのプロデューサーからは二度と仕事は貰えない。その点、僕は恵まれていたといえるかもしれない。

 次に新しいプロデューサーと出合ったのは、アニメーション業界では東映動画に次ぐともいえる東京ムービー社の若手小野田博之君である。押川国秋氏にシナリオの指導を受けたこともある関係で、押川氏が僕に紹介してくれた。学習院大学卒業のエリートだった。
 その時小野田君が担当していた番組は、園山俊二原作の“はじめ人間ギャートルズ”だった。この番組も放映開始からかなり進んでいて、僕はもちろん途中からの参加で、後半も終盤に近い頃だった。ただ、30分枠を15分2本立て形式で製作していたため、話としては7、8本書かせてもらったことになる。
 園山俊二原作といっても、シナリオ化に当たっては原作を使用する訳ではない。原作に書かれているテーマを土台に、登場人物のキャラクターを活かして作業するのだ。つまり各回の話の内容は、参加しているシナリオライター達のオリジナルである。

 途中からの参加ではあったが、このシリーズは凄く楽しかったことを今でも思いだす。なにしろ園山俊二氏の世界が楽しい。原始時代という広大な舞台設定。現代のように便利で何でも手に入る物質豊かな時代ではない。大自然の中を主人公のゴンが自由奔放に駆けずり回る。
 それでいて人間には人間の、動物達には動物達のルールとマナーが守られ、互いに思いきり共存しているのだ。もちろんそこには怒りあり、悲しみあり、喜びもある。そして親子の裸の絆が守られている。書いた本数こそ少ないが、思い出多い番組だった。

 小野田君とはこのあと、“新巨人の星”や“新エースをねらえ”などの仕事を一緒にすることになるのだが、彼の存在の大きかったことは、将来、“機動戦士ガンダム”を製作したサンライズ社に、直接ではないが僕を投入する橋渡し的役回りになった人物であったということである。