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 当時、東映動画の製作部には“もうれつア太郎”担当の大沼克之氏、“タイガーマスク”担当の斉藤侑氏など、個性の強い、いい意味でクセのあるプロデューサー達が席をおいていた。
 大沼克之氏は番組終了後、何故か突然東映動画を退社し、故郷の北海道旭川に引っ込み居酒屋を開業した。旭川生まれの女房と北海道に行った時、住所を頼りに彼を尋ね、ご馳走になった。なかなかシックな味のあるお店で、大いに盛り上がったのを覚えている。今そのお店が続いているかどうか、定かではない。

 アニメの世界ではアニメーターをはじめ、シナリオライターにも若い人が多い。それでも新参者の僕からすれば先輩である。先輩の中には、東映動画が製作しているテレビ番組を2、3本掛け持ちしているライターもいた。中でも有名だったのは大先輩のT氏。
 4、5人のライターとプロデューサーが打ち合わせをしている席で、メモを取っているのかと思いきや、別の番組のシナリオを書いていたという強者。早書きでも有名なライターである。
 残念ながら僕は最後まで番組の掛け持ちはさせて貰えなかった。新参者だったからか、それとも才能が認められなかったからか、一時期真剣に考え込んだことがあった。

 それでも“ひみつのアッコちゃん”は通算12本の作品を書かせて貰ったことになる。ちなみにサブタイトルをあげておくと、前回書いた3本に続き、“白いお船で来た少女”、“南の島に愛の祈り”、“宝の島で大騒動”、“お山の大将君と僕”、“母人形の笑顔のように”、“ワンコとニャンコのマイホーム”、“走れ馬っ子”、“ばくだん小公子”、“都会っ子田舎っ子”。
 中でも一番気に入っているのは“ワンコとニャンコのマイホーム”だ。演出はベテランの山本寛巳氏。後で知ったのだが、ライターなら一度は組みたいと願う演出家だそうだ。

 “ワンコとニャンコ”は大将のペット“ドラ”が主役の話だ。大将が奮闘する書き初めに誤って墨をこぼして大目玉をくったドラはしょんぼりと家を出る。雨が降り出し行き場のないドラが入り込んだ所は解体寸前の1軒の空き家だったが、そこには恐い先客達がいた。のら猫のら犬の集団だ。仲間になりたいなら食い物を持ってこいと放り出されたドラは、考えあぐねた末に出前に出たモコちゃんを待ち伏せ、スシを強奪する。
 すったもんだの末、解体した古材を大将とアッコちゃんが交渉して貰い受け、のら達のマイホームを完成させるという内容。
 問題点はただ一つ。犬猫のセリフをどうするかだったが、「動物達だけのシーンで会話させる」ことで解決した。構成がスムーズに進み、一晩で書き上げたことを覚えている。さすが山本氏の演出もテンポ良く冴え、仕上がりも好評だった。

 “ひみつのアッコちゃん”の番組が終了後、僕は“魔法のマコちゃん”、“トランスフォーマー”シリーズなどを、東映動画で書かせて貰ったが、この間のいろいろな出会いが縁で、この後東京ムービー社の仕事と出合うことになる。